Instagramでモノクロ写真だけを投稿するアカウントを作った。今さらかという気がしないでもないが、Instagramの発見タブのアルゴリズムの結果、モノクロ写真を浴びるように眺めていて、以前から大いに刺激を受けていた。
それにしても、このInstagramの発見タブ。ここで美しい写真に出会うというのが楽しみのひとつだったのだけど、リール動画がひときわ大きな面積を占めるようになってからは、国内外の面白動画や動物の動画が写真を押しのけるようになってしまった。ブラウザで欧州サッカーのことなど検索すれば、すぐにInstagramの発見タブのリールに反映される(Googleとも繋がっている?)。うっかりタップして、ひとときの間見入っしまうと、たちまち一覧が人工芝に様変わりしてしまう。これではいかんと写真家らしい発見タブを取り戻すがため、やっきになってリアクションをしていたら前述の結果となったわけだ。
さて、モノクロ写真だが、ご多分に漏れずカラーで撮った写真を後からモノクロに編集する。すでにカラーで完結していたと思えた写真が、モノクロになると全く違う表情を見せる。Lightroomでモノクロのプリセットをあてたその瞬間のある種のカタルシス。もちろん、今までも一部の写真はモノクロに編集していたので新しい刺激とはいえないが、白と黒と無限のグレーの静謐さは定期的に写真家を惹きつけるものだろう。
自分のように節操なく、仕事でも趣味でも何でも写真を撮る人間は、風景、ストリート、ポートレート、バイクに車に、撮影のジャンルが多岐にわたる。それに加えて撮った年や場所など、写真がバラバラに散らばっていく。それらが白と黒と無限のグレーのもとに一つところに整列するような感じ。その等価性に加えて、色を排したことで客観性が増し、眺めていて他の誰かが撮ったのではないかとさえ思える。その錯覚がなんとも愉快な気持ち。
そんなこんなで、モノクロに編集した写真たちを「UNUM」というアプリで並べていく。UNUMは、Instagramを模したレイアウトで写真を並べることができるアプリで、つまるところInstagramの予行練習場となる。あれもこれもとモノクロ写真を放り込んでいたら、ずいぶん先まで毎日投稿ができるような格好になった。
惜しむらくは、国外の写真旅行の経験が少ない気がしていて、こんな世の中になるくらいなら、もっと仕事以外でも積極的にカメラを携え海を渡るべきだった。今後少しずつでも渡航の道が開かれていくなら、この後悔を払拭したい。